明日はついに手術。 「しっかり寝て体力を持たせないと」と思えば思うほど、色々なことが頭をよぎり、なかなか寝付けない……。そんな夜を過ごしている方も多いのではないでしょうか。
日々、消化器外科医として多くの患者さんの手術を担当している立場からお伝えしたいのは、「手術前夜に不安で眠れないのは、ごく当たり前のこと」だということです。
今回は、他の患者さんが手術の前日をどう過ごしているのか、そして眠れない時に試してほしいアドバイスをいくつかご紹介します。
1. 「眠れないのは当たり前」と割り切る
まず一番にお伝えしたいのは、「眠らなきゃ」というプレッシャーを手放すことです。 人生において、手術という大きなイベントを前にして緊張しない人はいません。私たち外科医も、患者さんが不安な気持ちで夜を過ごしていることは十分理解しています。
「今日は眠れなくても仕方がない。横になって目を閉じているだけでも体は休まる」と、少し開き直ってみてください。
2. 他の患者さんはどう過ごしている?
病棟で患者さんたちにお話を伺うと、手術前夜はみなさん様々な工夫をして過ごされています。
- お気に入りの音楽やラジオを聴く イヤホンをして、リラックスできる音楽や、普段から聴いている深夜ラジオを流し聞きする方が多いです。人の声を聞くと安心する効果があります。
- 日記を書く 今の気持ちをノートに書き出すことで、頭の中が整理され、スッと眠りにつけることがあります。
- 好きな動画や映画を見る 気を紛らわせるために、全く関係のないコメディ映画や動物の動画などを見る方もいらっしゃいます。
3. 現役・消化器外科医からの3つのアドバイス
不安な夜を少しでも穏やかに過ごすための、医学的・実践的なアドバイスです。
① 深呼吸で副交感神経を優位に
緊張していると、無意識のうちに呼吸が浅くなります。 ベッドに仰向けになり、お腹の上に手を置いて「4秒かけて鼻から吸い、8秒かけて口からゆっくり吐き出す」深呼吸を繰り返してみてください。自律神経が整い、リラックスしやすくなります。
② スマホを見るなら「ナイトモード(ブルーライトカット)」で
動画を見たり調べ物をしたりするのは気を紛らわせるのに有効ですが、強い光は脳を覚醒させてしまいます。スマートフォンの画面を一番暗く設定するか、ブルーライトをカットする「ナイトモード」に切り替えましょう。
③ 遠慮せずに「看護師に相談する」
これが最も確実な方法です。 「不安で眠れません」と、遠慮せずにナースコールを押してください。 必要であれば、安全に使える睡眠導入剤を処方することも可能です。「薬に頼るのは良くない」と我慢する必要は全くありません。ぐっすり眠って明日に備えるための、立派な医療サポートの一つです。(※ただし、手術の前日・当日は絶飲食のルールがあるため、お水が飲める時間帯かどうかは看護師の指示に従ってくださいね)
最後に:明日は私たちに全て任せてください
手術前夜は、患者さんにとって一番孤独で不安な時間かもしれません。 しかし、明日の手術室には、私を含め、麻酔科医、オペ室の看護師、臨床工学技士など、あなたを安全に治療するためのプロフェッショナルなチームが万全の準備をして待っています。
あなたが今日まで頑張って準備をしてきたことは、私たちが一番よく分かっています。 明日は、どうぞ安心して私たちの胸に飛び込んできてください。
今夜は少しでも、あなたの心が休まることを祈っています。

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